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マチネの終わりに [本]

平野啓一郎氏の『マチネの終わりに』を読みました。

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この小説、家内が買ったものです。(家内は福山雅治のファンなんですね)
本棚にあったこの本の存在に気づき、何気に読み始めたら、いつしか夢中になり一気に読み
終えました。究極の恋愛小説といえます。

著者の平野啓一郎氏は、『日蝕』で第120回芥川賞を、当時最年少の23歳で受賞した
作家です。京都大学法学部を卒業しています。川端康成や芥川龍之介は東京帝大を出て
いますが、やはり国文学科であり英文科であって、平野氏の法学部卒は明らかに異色の
作家といえます。

天才クラッシクギタリスト蒔野聡史と国際ジャーナリスト小峰洋子。
当時聡史のマネージャーだった早苗のなりすましのメールによって二人の関係は壊れます。
結果的に早苗は、聡史と結婚後良心の呵責に耐え切れなくなり、洋子にもそして聡史にも
メールの真相を告白します。
小説を読み始めると、いつしか自分が主人公と同化してしまいます。私が聡史だったら、
果たして早苗の事を許すことができたでしょうか。子供ができていなければ、離婚も当然
あったかもしれません。
5年半の歳月が経ち、セントラルパークで再び会う二人。ここで小説は終わりますが、
再び愛の炎は燃え上がるのか、エンド以降どうなるのか、色々思いを馳せました。

昨年11月に福山雅治、石田ゆり子で映画化されています。本を読んでいると、どうしても
二人を思い浮かべてしまいましたが、なるほど二人とも適役だと思います。この映画が
上映されたとき、家内から観に行こうと誘われましたが、興味がなく断りました。この
本をその時読んでいたなら、間違いなく観に行っていたと思います。(残念!)

ここ数年、司馬遼太郎の歴史小説をメインに読み続けてきてきました。これは、
日本史史上の偉人の人生を純粋にもっと深く知りたいという思いからくるものです。
しかし例えば食事で肉ばかり食べていると、たまに魚が食べたくなるように、
全く違うジャンルの本を読むと、それはそれで新鮮に感じるものです。

いくつになっても燃えるような恋愛をしてみたい。でも今更そんな勇気も出会いもないのが
現実。私ならまず買わなかったであろうこの本、家内のおかげで新しい発見がありました。
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いっぷく

>聡史と結婚後良心の呵責に耐え切れなくなり、
この苦悩や葛藤の描写に関心があります。
心の闇とかトラウマとかこだわりとか、どう表現するかが文芸作品では重要ですからね。

by いっぷく (2020-05-17 05:05) 

十円木馬

いっぷくさん、コメントありがとうございます。
早苗の場合、告白したことで一時的に苦悩は和らいだかも
しれませんが、今度は聡史の心変わりを心配することに
なりそうですね。しかし子供を宿したことは女性にとって
強いものだと感じてしまいます。
by 十円木馬 (2020-05-17 07:27) 

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