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『こころ』 [本]

若い頃に読んだ、夏目漱石の『こころ』を読み直しました。
年月が経ちすぎて、話の内容を忘れかけていましたが、この歳になって再読し、
あらためて漱石の文才の凄さを感じずにはいられません。
私の読書法は、基本、斜め読みですが、この書は、一語一句噛み締めて読みました。

ところで自宅の書棚には、2冊の『こころ』があります。

DSCN4050.JPG
右は、旺文社文庫で昭和48年9月20日重版発行(¥150)であり、
左は、新潮文庫で、平成22年6月15日重版発行(¥362)のもの。
前者は、私が学生時代に買って読んだ本、後者は子供が買ったモノです。

内容以下の通りです。、
大学生の「私」が、海で知り合った「先生」の人間性に惹かれるが、と同時に
「先生」につきまとう淋しい影を気がかりに思っていた。帰省した私のもとに、
ある日突然届けられた先生の遺書。そこには先生の「過去」が重苦しく広がって
いた・・。

『こころ』は、大正3年4月20日から8月11日まで朝日新聞に連載された
漱石円熟期の代表作です。
全体を3つに区分して、上「先生と私」、中「両親と私」・下「先生と遺書」
で構成されます。

読み終えて、私がもし先生の立場だったらどうなのか考えてしまいます。
自殺したKへの懺悔の気持ちはあるにせよ、悩み続けなければいけないほどの
裏切りだとは思えません。また先生の性格上、Kの告白に対して、自分の気持ちを
打ち明けられなかったことも理解できます。そうまでして妻とした人を残して
自らも命を絶つという決断に、深く考えさせられました。

100年以上前に書かれた作品で、文中、明治天皇の崩御や、明治天皇を慕って
殉死した乃木大将なども出てきますが、内容は今の時代にも通じるものがあり
全くもって古さを感じません。

あらためて、文豪といわれる作品の素晴らしさに浸っています。
時間が十二分にある今の私にとって、しばらく文庫本を読み続ける日が続きそうです。
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十円木馬

middrinnさん、金四郎さんnice!ありがとうございます。
by 十円木馬 (2017-10-25 21:03) 

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