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『女のいない男たち』 [本]

村上春樹氏の『女のいない男たち』を書店で購入して読みました。

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文藝春秋刊 定価(本体1574円+税)

6話からなる短編小説集で、短編小説としては9年ぶりとなります。

『1Q84』や『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』といった長編小説は、その内容に
難解な一面がありますが、今回の短編は、総じて内容が理解し易く、深く考えずに一気に読
めてしまうものでした。
(とはいえ、『木野』の主人公が何故店を閉めて遠くにいかねばならなかったのか、
『女のいない男たち』は「書き下ろし」らしいが、脈絡が最後まで掴み辛かったです)

『ドライブ・マイ・カー』、『イエスタデイ』、『シェラザード』、『独立器官』は、部分的に自分自身
の過去に、重なる節があり、何か懐かしいものさえ感じるから不思議です。

特に『シェラザード』という35歳の女性が、高校2年生の時に、思いを寄せる同級生の男性
の自宅に侵入した話は、男性ならありそうな体験を女性がおこなうという点で、妙に斬新で、
生々しさを感じます。持ち出すものが最初は鉛筆、2回目はサッカーボールを象った小さな
バッジ、そして3度目は、洗濯籠に入った汗の染みついた丸首のTシャツ、その匂いを嗅ぐ
という、犯罪(変態に近い行為)ではあるものの、好きな異性のものであるならそうしたいと
いう、潜在意識としてあってもおかしくはないと思っている自分がいます。
(もちろん自分はしませんが・・そんな勇気はない)

ひょっとしたら、村上春樹氏自身にも、潜在意識として同様な思いがあったのかもしれません。
今回の短編は、著者のこれまでとはちょっと違った一面が垣間見え、また新しい魅力を発見
できたような気がします。
一読するに値する本だと思います!!
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