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豊臣秀長 [本]

久々の読書感想文です。

日本三代英傑の一人、豊臣秀吉については良く知られています。
しかし実弟の秀長については、この本を読むまで正直全く知りませんでした。
この本を通して感じたことは、まず私の住んでいる、尾張、三河が舞台になって
いるということに親しみを感じました。漠然とは認識していたつもりですが、
改めてこの地方に秀吉を始めとして、信長や家康が実在していたことに、深い
感動を覚えずにはいられません。
秀吉が天下統一を果たすことができたのは、秀長の存在が非常に大きかったと
言うことが分かりました。そして改めて、補佐役の重要性を認識しました。

戦国時代と言えば、下克上で食うか食われるかの世の中です。
裏切りや殺し合いが当たり前の中で、心を許せる部下がいるか否かは、
成功を収める上で重要不可欠な事項と思われます。
肉親だから必ずしもうまくいくとは限りませんが、この二人においては、それは
無用の心配です。

小一郎(秀長)の人柄を知るのに、竹中半兵衛との出会いの場面によく表れ
ています。秀吉が竹中半兵衛を墨俣城に出迎え、上座を進めます。
小一郎は序列に迷い悩んだあげく、下座に座り恭しく半兵衛に一例した状況が
書かれています。補佐役としての資質を存分に発揮しています。その夜、秀吉
からの礼に対し、宣言万語にも尽きぬ意思の疎通を感じたところに人知れぬ
兄弟愛を感じます。それも生涯、この思考と態度を持ち続けたと書かれています。

現代に置き換えてみても、例えば組織を運営していく上で、経営者はまず自分
の考えを理解し、片腕として動いてくれる人間を必要とします。そうした人間を
もてるかどうかは、会社を強くする、大きくしていく上で必要不可欠なものと言
えます。例えば「ホンダ技研工業」を創った本多宗一郎にしても、金勘定を
全面的に任せきれた藤沢武夫の存在がなければ、世界に名を知られる会社
にはならなかったはずです。
優れた補佐役は、NO.1とは基本的に才能を発揮する分野や性格が違うほうが
良いのかもしれません。互いの力を認めあい、補うことで、1+1が2ではなく、
3にも4にもなっていくと実感しました。

日本史が好きな自分にとって、その存在を知らなかった秀長に出会えたことは、
1つ歴史の財産を手にした気分です。 
    


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moka

私も日本史が好きです。
とはいっても、最近は歴史書や歴史小説を読まなくなりましたが…。
いつぞやのNHKの大河で、中村正俊が秀長を演じていたことがありました。
豊臣政権は、秀長が亡くなってから急速におかしな方向へ転げていきました。豊臣家は、秀吉とねねと秀長の“作品”なのかもしれません。
そんなことをふっと思い出しました。
by moka (2007-02-18 19:25) 

十円木馬

mokaさん、nice!&コメントありがとうございます。

父が大学を卒業後29歳まで都立高校、そして定年後愛知の
私立高校で7年間、社会科の教師をしていたこともあってか、
私自身社会、特に日本史が好きでした。父は私が子供の頃、
史跡や名勝を歩きながら、本に書かれていない歴史上の裏話を
色々教えてくれました。
学校の勉強よりもはるかに生きた勉強でした。
by 十円木馬 (2007-02-19 21:36) 

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