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決断(トヨタ自動車) [本]

愛知県は、ここ数年非常に元気です。良くも悪くも、トヨタ自動車の動向に景気
が左右されていると言っても過言ではありません。

大衆の臭いを感じさせるホンダに対し、トヨタは自動車界のサラブレットという
イメージを長年持っていました。

豊田英二氏にしても、東京帝大を卒業し、トヨタ関連会社である自動織機に入社
し、昭和20年には取締役に就任しています。
回りから見れば羨ましがられるほど順風満帆な歩みに見えます。
しかし、単なるお坊ちゃんかというと、トヨタの生成、発展、成熟という激動の
時代のなかで、クルマづくり一筋に生きてきたことが分かります。
育った環境は違えこそ、本多宗一郎にも負けないくらい、クルマづくりに人生を
かけていたと言っても過言ではありません。
単なる技術屋ではないことは、改良部、企画部、製造部、技術部、そして
経営調査部など多数の部署を通じてゼネラリストとしての才知を養っていること
からも伺えます。

経営者のとしての資質は、この本を通じて随所に見受けられます。
例えば元町工場の建設です。当時月間2千台の生産実績だったにも関わらず、
初めから月産1万台を想定し、乗用車専門工場を建設しようとし、決断を下した
ことは、有る意味大変な賭だったかもしれません。

成功する根拠は、凡人の私には理解しきれませんが、「時流に先んずる」こうし
た事業投資を行い成功させたことは、やはりある種の天才なのかもしれません。
さらには現在でも売れ行きNO.1の大衆乗用車「カローラ」の開発も英二氏の
経営実践が強く打ち出されていると思います。英二氏の視点が、原価、コストに
向けられたことにも注目できます。これは車を上流階級だけではなく、一般大衆
にも広く普及しようという思いです。これは、会社が本来考えなくてはならない、
「顧客第一主義」に他なりません。
大衆化時代の到来をいち早く見込んだこうした考えは、やはり先見性の目が有る
と言えるのでしょう。

節目、節目の大きなその決断は、優れた直感力、判断力、先見性、そして慎重全
てが一体となって開花したと言えると思います。

豊田英二著
日経ビジネス人文庫
695円(税抜き)


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moka

TOYOTAもHONDAも、トップも素晴らしいのですが、相棒・片腕・番頭さんが実に素晴らしい人材に恵まれた・登用し続けたことも、今日の繁栄があるのでしょう。
トヨタの石田退三や大野耐一、ホンダの藤沢武夫など、トップを支え会社の発展に尽くしたサブの存在があってこそ、トップも活かされるのだと思います。
やはり、人材は「人財」なのでしょう。まぁ、中には「人罪」もいますが…。
by moka (2006-10-24 23:22) 

十円木馬

まったく同感です。
営業の本田宗一郎に経理の藤沢武夫。お互いの存在を認めあい、
信じられたこそ、自分の好きな仕事に専心できたはずです。
私自身も「メンター」の存在が欲しいです。しかし、自分の
腹心は、結局時間がかかっても自分で育てていくしかない
と思っています。
by 十円木馬 (2006-10-25 18:43) 

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