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『箱根の坂』 [本]

司馬遼太郎氏の「箱根の坂」を読みました。

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司馬先生の作品は読むたびに何がしの感動があり、発見があるのですが、この小説は特に
心に残るものでした。
主人公は、室町時代に生きた北条早雲です。
武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉などは世間で実に良く知られていますが、
北条早雲はそれに比べて知名度は低いように思われます。
しかし、この本を読んで、早雲の人となりを知るにつれ、その人間的な魅力に引き込まれ
ました。今あらためて戦国時代で一番好きな武将はと聞かれれば、北条早雲と答えること
でしょう。

早雲の本名は伊勢宗瑞。早雲自身は生前一度も「北条早雲」を使ったことは無かった
といわれています。驚くべき事実は、歴史の表舞台に登場したのは55歳の時です。
当時は人生50年といわれた時代ですので、超遅咲きといえます。亡くなったのは
1519年、満で87歳ですからまさしく超人です。
「戦国時代」という言葉が使われますが、1493年早雲61歳の時の堀越公方の
家督争いに乗じて伊豆に出兵し足利茶々丸を追い出し伊豆を占領した時から、
戦国時代の始まりとも言われています。1495年には、小田原藩主大森冨藤頼を
謀略し小田原城を奪い、1516年84歳の時、新井城を攻略し、相模・三浦氏を
滅ぼして相模を平定します。この生命エネルギーは、他の武将にはないものと思います。
50歳で結婚、61歳で三男幻庵を生んでいるなど、超人の名にふさわしいと言えます。

早雲を好きになった理由として、早雲には欲深さがなかったことがあげられます。
斎藤道三などと違い、私欲で国を盗んだのではありません。
晩年の戦いのほとんどは、駿河の今川氏親からの要請によるものであり、早雲自身の
利害とは関係ありません。甥の氏親への義理堅さは美しくもあります。

もう一つ、この小説に引き込まれた理由として、題目に箱根が使われているように
舞台が、駿河、伊豆、小田原、三浦と、私にとって思い出深い土地であることです。
私自身小学校6年から約3年間、静岡県の御殿場市に住んでいました。この3年の
間、休みの日には、父と山登りと史跡名勝巡りをして過ごしていました。
富士山はもちろん、愛鷹山や箱根連山も踏破し、早雲の辿った軌跡が手に取るように
分かります。小説内に出てくる、三島大社、小田原城、油壷なども全て実際に訪れている
ので、懐かしさがこみ上げてくるのです。

歴史小説を読むと、実際に事が起きた地を訪れて見たいという思いが、ふつふつと
湧いてきます。だから司馬先生の作品は止められません。
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十円木馬

yamさん、金四郎さん、(。・_・。)2k、ネオ・アッキーさん、
nice!ありがとうございます。



by 十円木馬 (2020-02-06 14:06) 

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